前橋地方裁判所 昭和35年(行モ)3号 決定 1960年6月06日
申請人 中山秀夫 外一一名
被申請人 群馬県教育委員会
主文
被申請人が昭和三十五年三月二十九日申請人らに対してなした免職処分の執行は本案判決確定にいたるまでいずれもこれを停止する。
理由
申請人は主文同旨の決定を求め、その理由として
被申請人は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基いて設置され、群馬県における学校教育行政を掌る行政官庁であり、申請人らは被申請人に別紙一覧表のとおり宿直警備員として期限の定めなく任用され、いずれも群馬県市町村立学校施設の保存警備をその職務内容とする勤務に従事する一般職の地方公務員である。
ところが被申請人は昭和三十五年三月二十九日申請人らに対し何等の理由を示さず解雇通告をなし、その頃申請人らに送達された。
しかしながら被申請人の右解雇は地方公務員法に基かざる解雇にして、重大且明白な瑕疵があるから当然無効である。
よつて、申請人らは本日被申請人を被告として、解雇無効確認の行政訴訟を提起したのであるが、被申請人から解雇者として取扱れることは、賃金を唯一の収入とする労働者である申請人らにとつて、償うことのできない損害を受ける虞があり本案判決を俟つ余裕がないので、本申請に及んだ次第である。と述べた。
よつて当裁判所は一件記録を精査し、諸般の事情を考え申立人の申立理由を一応正当と推測し行政事件訴訟特例法第十条第二項に則り主文のように決定する。
(裁判官 水野正男)